昨年末に入荷したB&Wの803D3
今回のモデルチェンジは800箇所以上ものパーツ、機構を見直し、
全く別物と言っても過言ではないものへと進化しました。
その全てをお伝えすることはできませんが、
大きな変更点についてご紹介したいと思います。
ケブラーコーンからコンティニュアムコーンへ
B&Wのスピーカーにおいて大きな特徴となっていたケブラーコーンにも
今回のモデルチェンジでメスが入りました。
新たに採用されたのは『コンティニュアムコーン』と呼ばれる
B&Wが8年の歳月をかけて開発した新素材です。
コンティニュアムコーンは共振を高度にコントロールます。
また、ケブラーコーンと同様の立ち上がりの良さを持ちながら、
音の収束はケブラーコーンよりも早い特徴があり、
結果としてヌケがよくスッキリとしたサウンドが得られます。
ウーファー振動板にエアロフォイルコーンを採用
以前の800シリーズには新幹線にも採用されている素材のロハセルコーンでしたが、
800D3シリーズは潜水艦の外壁にも使用されているシンタクティックフォームと呼ばれる
発泡系の素材をカーボンファイバーで包んでいます。
また、厚みは均一ではなく、外側は薄く内側は厚くなっています。
この形状からエアロフォイル(翼)コーンと呼ばれ、
理想的な低域の駆動を可能にしました。
高剛性のキャビネット
800シリーズのキャビネットは合板を曲線的にプレス加工した特徴的なデザインでした。
800D3シリーズでも同様の曲線的なデザインは継承されていますが、
今回はその曲線部分を背面ではなく、バッフル面に来るようにデザインされました。
(リバース・ラップ・キャビネット)
また、背面には分厚いアルミ板を取り付け、剛性を高めました。
内部構造のマトリクスにも改良が加えられました。
従来のMDFからより強度のある合板に変え、
またストレスのかかるポイントを分析し、そこに金属部品を加えました。
これらの改良からシリーズ最高の剛性を誇るキャビネットが完成しました。
タービンヘッド
B&W800シリーズのデザイン的な特徴でもあるヘッドユニットは
人工大理石からアルミの削り出しへと変更。
内部はラジアルフィンで固定し、更に剛性を高めました。
ジェット機のエンジンのような構造からタービンヘッドと名付けられました。
ダイヤモンドツィーターのパフォーマンスを更に高める改良
近年の800シリーズの代名詞的な存在であるダイヤモンドツィーター。
振動板自体は前モデルと同じですが、その他は全て新設計となっています。
まず、ハウジングはアルミと亜鉛の合金から、アルミの削り出しへと変更。
爪でハウジングをはじいてみても、ほとんど鳴きがありません。
また、ネオジウムマグネットは更に磁力の強いものに変更され、
4つ搭載されていたものが3つになりました。
これらの改良により、ダイヤモンドツィーターのパフォーマンスは更に向上しました。
803D3は最も変化したモデル
上記以外にも様々な点を見直し、改良され生まれた800D3シリーズ。
その中でも803D3は前モデルから最も変化したモデルと言えるでしょう。
大きな変更点としては、やはりタービンヘッドが803D3から採用された事です。
以前のモデルは804を一回り大きくしたようなデザインでしたが、
今回は802を一回りコンパクトにしたようなデザインになったワケです。
スケール感、広がり、分解能…
旧モデルでは803と802の間には音質的にも大きな差があったように思います。
803D3では、800や802がもつ特性を持ち合わせながら、より鳴らしやすいスピーカーとして
非常に価値のある存在になるであろうと考えます。
新たな800シリーズのサウンド、そして新たな803のサウンド
是非、ご自身の耳でお確かめください。